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Q&A:営業手当の他にも残業代を支払う必要ってありますか。

当社では外回りの多い営業職員には営業手当を一律3万円で支給しています。 会社としては、残業代もそこに含まれていると考えていました。 しかし、営業職員から「残業代が一切支払われていないのは違法だ。」と過去2年分の残業代の支払いを請求をされました。この請求に、応じなければならないでしょうか?

営業手当に残業代を含ませる場合には、ポイントが二つあります。
①営業手当に残業代が含まれる旨、労働契約書や就業規則等に記載があるか。
②残業代が営業手当に含まれるとすれば、その算出額が妥当であるか。

①について
就業規則等に「営業手当が残業代に相当するものであり、それが何時間分の残業に相当するのか。」を明確にして従業員に周知されていれば、営業手当が残業代を含むことは、必ずしも違法にはなりません。
②について
まず、営業手当が所定外賃金と所定内賃金のどちらに属しているかです。
会社が、営業職員に対する時間外手当として営業手当を支払っているのであればこれは「所定外賃金」となりますが、営業職員に交際費や靴、スーツ等の必要経費がかかるからという理由で支給しているのであれば「所定内賃金」となります。

この場合、営業手当も残業代算定基礎賃金(時間単価計算)に含めて時間外手当を計算します。(時間給×割増×残業時間)この額は基本給やその他手当てを元に個人別に算定されるので、従業員ごとに変わってきます。よって営業手当が所定内賃金であり残業代を含む場合、一律3万円という支給では、該当する従業員の「時間外労働について、何時間分に相当する金額なのか」が明確でないので問題があるといえるでしょう。
残業代が時間外手当とされていた場合は、実際に残業した時間で法律どおりに計算し、その額が3万円を上回る場合は、その差額を支払うことが必要です。これらの条件を満たさない残業代を含む営業手当は、違法であるといえます。

今回のケースでは、「会社としては、残業代もそこに含まれていると考えていました。」とありますので、大まかに残業代を手当で代用していたことが想像されます。
残業代を含む営業手当として運用する場合は、就業規則等の手直しが必要です。

未払い残業代については2年遡って請求することができますので、今回は 2年間の個々の営業職員に対して実際の残業時間に対する残業代を計算し、各月3万円で足りているかということの確認を行い、不足している分は支払いましょう。

裁判所で支払い命令が出ると付加金や遅延損害金も支払わなければならなくなります。発覚した時点で、支払うことが一番です。

<就業規則の例>「営業手当の額は、外勤業務・時間外業務の特殊性を考慮して定めるものとして、その額の中には月○時間の時間外割増賃金を含むものとする。ただし、実際の時間外労働がその時間を超過した場合は、その差額を時間外手当として支払う。」と定めておくと、個別対応もでき、運営上もわかりやすく良いでしょう。