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Q&A:競合会社に引き抜かれ、退職する従業員がいます。競業避止義務違反ではないでしょうか。

競合他社に引き抜かれ、当社を退職する従業員がいます。中途採用でしたが、10年勤めあげ、当社の営業の要として営業部門をリードしてきた従業員だったので、退職だけでも会社としては大きな痛手を受けます。その上、競合他社に転職すると聞いて、社内的にダメージは広がるばかりです。競業避止義務という言葉を聞いたことがありますが、それに反するのではないでしょうか。また今回のケースでも、退職金を満額支給しなければならないでしょうか。

憲法で保障する職業選択の自由がある以上、従業員が退職後にどの会社で働くかは、原則として本人の自由であり、基本的には競業避止義務は認められません。よって原則としては退職金を不支給とすることは出来ません。
ただし退職金債権は退職時およびその後の一定期間の支給制限違反の有無を含めて再評価して確定するものであるため、就業規則等に定めがあれば、退職後の競業避止義務違反を理由として、退職金を減額・不支給としても、賃金全額払いの原則には違反しません。
「競合会社への再就職の禁止」を定める場合は以下の点すべてに該当することが必要です。就業規則や労働契約書などで定めておくとよいでしょう。
①会社側に正当な利益の保護を目的とすること。
②退職者の退職前の地位を主要経営幹部などに限定すること。(一般従業員は含まない。)
③競業が禁止される業務、期間、地域を合理的な範囲で定めること。(重要な開発に関わった部署に限定。退職後1年間と限定。など)
④使用者による代償措置があること。(従業員が競業禁止により被る損害を補償する。→「給与のうちのこの分が、代償措置としての手当に相当する」と合意しておくなど。)この他に、競業避止義務違反に対しては「退職金を支払わない」、「退職後定めた期間内に」同業他社への転職、あるいは同業他社の設立が判明したときには退職金の返還義務があることなどを明確に定めておきます。さらに、就業中に退職時の競合避止義務を約した確認書などの特約を結ぶことも有効です。

なお、顧客を意図的に大量に奪ったり、従業員を大勢引き抜いたりするなどの行為は背信行為となり、不法行為として損害賠償の対象になります。このような不法行為があった場合は、就業規則等に記載、特約の締結うんぬんは関係ありません。